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学習塾にもモンスターペアレントって来る!対応に注意!
モンスターペアレント。通称モンペ。
辞書には載っていないので正式な定義はわかりませんが、要は無茶苦茶なことを言ってくる保護者(ペアレント)のことです。
よく学校の先生を取り上げたドキュメンタリーや書籍で登場しますね。それが原因で学校の先生が体調を崩してしまうとか。
もちろん、子どもが来る以上は学習塾にもモンスターペアレントは来ます。ははっ。
学習塾が預かる子どもの数は、さすがに学校よりは少なめ。なので学校よりモンペに出会う確率は低めです。ただ、高い授業料をいただいてるため強烈なときは強烈ですよ。
しかし、このテーマでは必ず気をつけたいことがあります。それは、
“クレームを言ってくる保護者が全員モンスターペアレントというわけではない”ということ。
至極真っ当なクレームであれば、完全にこちらに非がある。現状を改善するなどの対応をする必要があります。
あくまでモンスターペアレントは理不尽な要求、無茶苦茶な要求をしてくる保護者のこと。
これって当たり前のことのようで、忘れがちになることなんです。
特に学習塾を経営していると、教室のことを一人で全て決め、生徒保護者から先生と呼ばれるため、自分は絶対正しいと錯覚してしまいがち。気をつけましょう(自戒)。
とか思わないこと。いいですね?相手が正しいことも結構あるよ?
そのことを踏まえて、モンスターペアレントとエンカウントしたときの対応について書いていきます。
モンスターペアレントに対応する心構え。
あなたと保護者はあくまで対等な立場であることを意識。
まず大前提として、目の前にいる保護者とあなたに上下関係はないということを必ず意識してください。
お金を払っているから保護者の方が立場が上とか、子どもを預かっているあなたの方が上とか、学習塾においてそんなことはありえないんです。
どちらも、子どもの成長を願う大人。共に協力し合う必要があるのです。
こう言ってはなんですが、保護者があなたのことを下だと思えばつけあがる強い言い方になってきます。また、あなたが保護者のことを下だと思えば、何気ない言葉が保護者の逆鱗に触れることになりかねません。
立場がフェアだと意識しないと、必ず火種が生まれるのです。
保護者の側は感情的になっているときもあるでしょうから、まずはあなたが相手を尊重しながら話を進めましょう。
保護者の話をそのまま最後までしっかり聞く。メモを取って聞き役に徹する。
学習塾のみならず、クレーム対応の基本中の基本。相手の話を最後までしっかり聞くこと。
保護者も暇だから連絡してくるわけじゃありません。保護者が学習塾に話をするのは、あなたに伝えたいことがあるからです。
話の途中で余計なことを言わずに、相手が言葉を全部出し切るまでしっかりと耳を傾けましょう。
こちらもメモをしながら話を聞くといいでしょう。そうすることでしっかりと聞いていることが伝わりますし、話が終わったあとに“これはこういうことですね”と確認ができますね。言った言わないの記録にもなる。
そうすることで冷静な話し合いができるようになります。
最初から下手になだめるより、はき出させてしまった方が相手も冷静になりますよ。
保護者の情報源は子どもの声など断片的なもの。何事も丁寧に説明する。
どの保護者も、学習塾と直接話す機会はあまりありません。授業のときに教室にくるのは生徒(子ども)だけですからね。
なので保護者はその子どもから聞いた情報を元に、こちらに対して連絡や相談や要求をしてきます。
つまり、保護者は一部を切り取った情報、非常に限られた情報しか持っていないわけです。
こちらにしてみれば何を当たり前のことをということも、もしかしたら保護者の側はわかっていないのかもしれません。
何年も塾へ通っていても、保護者も知らないことは知らないです。思春期の生徒達は、詳しいことまでいちいち親に話しませんからね。特に男子は母親と話さなんだ。
そのことを念頭においておかないと、誤解があるまま話をすることになります。これまた波風立てることになる。
なので、話し合いのときに必要な情報は丁寧に説明しましょう。向こうがわかりきっていたとしても、確認の意味になりますから。
意外とというと変ですけど、そのへんの誤解が解ければ解決するやりとりって多いです。
ぼやけた表現は使わず、結論をきっちり。約束事は期限を明確にする。
話し合いにくる人間は、何かしらの結論を求めてくるのです。
相手が話してきたことに対しては、はっきりと結論を伝えてください。
“対応できるのか”
“対応できないのか”
“解決策はあるのか”
“検討するならいつまでに答えが出るのか”
まして、保護者は仕事で忙しい合間を縫ってあなたに意見を言いに来るのです。
のらりくらりと明言を避け、だらだらあいまいな答えなんてしていたら、相手の時間を無駄にすることになります。仮に相手がモンペでもそれは失礼にあたります。逆の立場で考えればわかりますね。
それと同時に、結論を伝えてしまえば話の先は見えたことになります。間延びした話し合いをするよりも、こちらとしても時間の節約にもなりますよ。
こちらから退塾を進めることは絶対にしない。判断は相手に任せる。
あんまりに理不尽な要求や無茶苦茶なこと言われると、言いたくなるセリフがあります。
“もう辞めて他の塾へ行ってください”
他の塾へ行ってというと刺客を放つみたいだな。要はもう面倒見切れないからうちの塾辞めてくれ系。伝家の宝刀チックですね。
こちらからの退塾の勧告は絶対ダメです。どんなに辞めて欲しくてもダメ。これ言ったら負け。
こちらから退塾させたら、
“意見したらいきなり辞めさせられる”
とみたいな評判になります。独裁政治です。現実はちがっても、噂を広めるのは向こう。こちらの意見が入る余地はありません。どんなに保護者の側が無茶を言っていたとしても、人間自分に都合の悪いことは周りに言わないものですよ。
こちらとしては向こうが話してきたことに対して、できることとできないことをはっきりと提示する。それだけです。
その上でどうするかは相手に判断を任せるとしましょう。
結局そのまま通うのであれば納得したということですし、退塾をするのであればこちらとしても家庭の判断を尊重する。
無理に引き留めようとしたり、あるいは追い出そうとしたりしない。要はこちらから進退の話はしないということです。
一線超えたら毅然とした対応を。
保護者の側の対応にあなたが応じるのは、あくまであなたができる範囲でのこと。
ないとは思いますが、向こうの対応が一線を越えてきた場合(法に触れるレベル)は、毅然とした態度でのぞんでください。もうそしたら相手はお客ではありませんから。
あなたの学習塾を守れるのはあなただけ。そして、通ってくれている生徒達の安全も守らなければならないのです。生徒の安全は何よりも守らなければならない。
あなたが動かなければ、周りは誰も守ってくれませんよ。
あまりにひどいケースの場合は、客観的な第三者を挟むことも必要になります。
直接教えていた子ではなかったので何をそんなに怒っていたのかわかりません。しかし教室長曰く、おまわりさんがきたらその父親も少し落ち着いて話ができたとか。んまぁ、貴重な経験だったわ(他人事)。
このケースは入り口のことだったので、たまたま通行人が動いてくれましたが、教室内のことは外からはわかりません。
私も自分の教室で経験したことないので、説得力に欠けてしまいます。ただ、選択肢のひとつとして頭に入れておいた方がいいでしょう。
特別扱いは破滅への第一歩!学習塾としての基準をはっきりとする。
学習塾は生徒が来てくれて初めて成り立つ商売です。生徒が来なければ収入源は他にありません。
そして学習塾に通うか通わないかの決定権を持つのは保護者。お金を出す人ですからこれは当然です。
そんなときに保護者の一人から無茶な要求をされました。
今生徒の数が減ってしまったら困る!なんとかして引き留めなければ!
そう思ってその要求を飲んでしまったらどうなるか。
それ以外の保護者の方からこう思われます。特別扱いってされる方は気持ちいいでしょうが、そうでない方は不満しか持ちません。同じお金払っているんですから。
無茶を言わなかった方が不満を持つ。はっきり言えばちゃんとしている人が損をするわけです。そして結局、その人達が辞めて行く。残るは無茶のみ。無茶の純粋培養。わぉ。
そもそも、我々は子どもの教育をする立場です。特定の生徒を特別扱いをするわけにはいかない。特別扱いって、言い方を変えれば“人によって態度を変える”ということですからね。それはどうなのよと。
必ず生徒とは平等に接しなければなりません。結果、その方が生徒達はついてきます。
なので、もし言われた要求を飲むのであれば全員にそれをするべき。
あるいは“保護者の方から○○がいいという声がありました。希望される方はご相談ください”と、全員に情報を開示して選択の機会を与えることが大切です。
学習塾を開けば、様々な意見や要求を保護者の方から言われます。
そのため、自分なりの信念なり判断基準なりをしっかりと持っていてください。
そして、学習塾としてその要求には応えられない場合ははっきりとその旨を伝えるのです。
“検討してみます”とか“ちょっと難しいです”ではないんです。“それならなんとかしてよ”と要求側はなります。
“できかねます”とはっきりと言ってください。それで退塾していくならその方がいい。その方がお互いのため。
くり返しになりますが、あなたの学習塾を守れるのはあなたしかいません。目先のことで無理をすれば、いつか必ずツケを払うときがきます。
なんでもOKする人は優しい人ではなく、ただの都合がいい人。できないことはできないとはっきりと言い、その代わり自分ができるサービスに注力するべきです。
モンスターペアレントは存在しない!いるのは教育観の異なる保護者だけと考えよう。
そもそも、モンスターペアレントという言葉ができはじめたのは割と最近です。私が学校へ通っていた頃は全く聞いたことがありませんでした。
しかし、21世紀になったあたりからモンスターペアレントという言葉ができはじめ、いつしか社会問題(?)になっています。学校の先生方がどんどん体調を崩してしまい、教員不足が嘆かれるほどに。
“保護者の声が大きくなったのは先生の立場が弱くなったから”とも考えられますが、個人的には少子化と需要の多様化が原因な気がします。
たった一人の自分の子なら、保護者にしてみればこの上なく大切な存在。そして情報がどんどん手に入る時代になり、今まで隠れていた需要や要求があぶり出されてきたのです。
親であれば、自分の子にはより良い教育を受けさせてあげたい。それは至極当然の考え。
親が我が子のためにすることには一定の道理はあるんです。
もちろん、周りから見てどうかとか実際はどうかとかは別ですよ。
ただ、親が行動に移したということは本人は我が子のためにはそれが正しいことだと思っているんです。
そして、その要求に学習塾は応えられないものがある。
なので、こちら側から見れば何言ってんの?ということもある。
そういう相手をモンペ認定してしまいがち。しかし、その人はモンスターペアレントではありません。
その人はあなたと価値感や教育観がまったく異なる人なんです。
そう思った方がお互いのため。もとよりモンスターペアレントなんて存在しないんです。
私も若かりし雇われ時代は、
と思ってたんです(ごめんね)。しかし心の中でも、人は必ず思ったことが表情や態度に現れます。声色とか目配せとかで。そうすれば油を注ぐことになりかねない(実体験)。
自分の子どものことなんだから、親は必死になって当たり前。そしてお互い価値観が異なる。まずはそう考えて第一声を最後まで受けとめましょう。気持ちはわかりますけど、最初からけんか腰にならない。
その上であなたの学習塾で対応ができるのかどうかを考える。できることはしっかり対応し、できないことはできないとはっきり言う。
こういうと学校の先生に悪いですが、学校とはちがい学習塾は保護者側の選択肢がいくらでもあるのです。
もしあなたにとって無茶な要求であったとしても、それができるという学習塾が他に存在するかもしれない。
であれば、無理に対応して引き留めるのはお互い得策ではありません。
ひとりにOK出したら、他の人にも出さなくならなければなります。はい、破滅の入り口です。あなたのキャパ超えたら教室は崩壊しますよ。
相手はモンスターペアレントではなく、あなたとは価値観教育観が異なる人。
もしも別の形で出会えていたなら、学べる事もあったでしょう。
しかし、今回は金銭のやりとりが発生するお店とお客様の間柄。そんな悠長なことは言えません。
お金を支払う相手側が納得できないのであれば、あなたがお客様からの要求に対応できないのであれば、関係を解消してもやむを得ない。
どんなに客観的な人であっても、あるがままに世の中を見ることなんて不可能です。今までの知識や経験を元に出来事を見ることからは避けることはできません。
結局、なんやかんや人間はみんな自分の見たいように物事を見ているんですよ。私もそう。だからこのブログもそんな感じでしょ(笑)。
こちらも保護者も、その上で “いいこと” と “わるいこと” を判断する。30年40年と育ってきた世界が異なるんですから、正面からやり合ったって仕方がない。
生徒達のことや教室の運営のこと、それのことであなたができることできないこと、そしてなぜ自分が学習塾を始めたのか、考えてみてください。そしてあなたの学習塾としての判断基準を明確にし、自信を持って対応ができるようにしましょう。