
学習塾経営の教務面。使用教材はどうする?おすすめテキストは?
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生徒達の学力を伸ばすにあたり、どのようなテキストを使えばいいかは非常に悩むところ。
教材展へ行くと様々なテキストが綺麗に並べてあって、どれもとても良さそうに見えてしまいますしね。楽しい。
先に言っておくと、どのテキストも教材会社が一生懸命制作してくれているので、どれも良いに決まっています。
なので採用すべきテキストは、あなたが使いやすいと思うか、生徒の立場に立ったときに使いやすいかどうか、指導方法はどうするのか、対象とする生徒の学力層はどうか、などにもよってきます。
ここでは、私が普段使っているテキストを紹介していきます。
まるっきり主観ですけど、実際使っている私から見たそれぞれのテキストの感想を紹介します。
私の学習塾は自立学習型の塾。生徒それぞれで学習している内容が異なります。なので、生徒の学力によって使用するテキストがばらばらなため、種類的には結構多くのテキストを採用しています。
補助教材はまだまだたくさんありますが、メインで使用している教材はこんな感じ。有名どころが多いかな。
書いてある科目は、実際に私がそのテキストを使っている科目です。また、テキストによってはインターネットで補助教材や独自のサポートがあるものもあります。
私個人は、勉強の中心はやっぱり紙と鉛筆だよなぁと思うので、本型のテキストの話が主になってしまいますことをご承知おきください。
ではいきますよ~。
公立小学校の生徒向けの学習塾テキスト。
私の地域では、公立小学校は住んでいる学区で通う小学校が決まります。
そのため入学試験もなく、さまざまな学力の子が通っています。学校の授業は進度は比較的ゆっくり。教科書にそった内容を扱うことがほとんどです。
公立小学校にはさまざまな学力の子がいる、というのがミソ。学習塾へくる子も当然様々な学力になります。ピンからキリまでです。
学習塾をやるからには、教科書の内容があやしい子から教科書が楽勝過ぎて力をもてあましている子まで、しっかり対応したい。
そんなラインナップになります。小学校の理科社会はほとんど需要がないので、国語と算数のテキストね。
あと、英語に関して。
基本的に私の学習塾では、英語は中学校の予習としての位置づけです。小学6年生になったら、中学1年生用の教材を使って予習をしています。
しかし、まもなく小学校の英語も教科化され成績もつくようになります。現在の中学校レベルの内容を小学5年生あたりから指導する模様。それは結構なことだが、日本語の読解力は大丈夫なのか?
今はちょうどその過渡期になりますので、英語で良い感じのテキストを見つけたら追記していきます。
のびのびじゃんぷ(株式会社創育)。算、国。
小学生用テキストで、私個人の一番のおすすめはこれ。のびのびじゃんぷ。名前もいいですね。国語と算数両方あります。
学年の表記はなく、1級~40級(算数は42級)といった進級式。何級が何年生相当と書いてある我々用の資料はあります。
国語も算数も30ページくらいの薄いテキストなので、早い子は2週間くらいで1冊終わらせます。そして次の級へ進むと。
算数は見開きの半分が計算問題、もう半分が文章問題となっています。文章問題に多く触れさせたい子にはもってこいですね。しかも、新しい文章問題と共に、前やった類似問題が何度も続けて出てくるので復習もしやすいです。
国語は学校の教科書以外の文章に触れられるのが大きいです。同じ文章が3ページ続けて出てきて、問題が変わるスタイル。じっくり読めます。文章も面白いものが多いですよ。
また、先に述べたように学年の表記がないので、前の内容に戻りたい子にもすんなり渡せます。
例えば、
小学3年生の内容から復習したい5年生に3年生と書かれたテキストを渡すと結構プライドが傷つくんですよ。周りの目もあるし。
でも級の表示なら、
みたいな感じで渡せるのです。
制作会社はちがいますが、こののびのびじゃんぷの姉妹テキスト(?)として、株式会社学書の“あい・キャン”があります。
テキスト内の雰囲気が微妙にちがうので、そこは好みによりますかね。
栄光ワーク(エデュケーショナルネットワーク)。算、国。
教材としての正式名称は“ワーク”というらしいですが、俗称は“栄光ワーク”といいます。ワークだけだとややこしいからですかね。
学校で使用している教科書に準拠したテキストですので、指導がしやすいと思います(一部準拠していない教科書もあり)。
有名なテキストなので、採用している学習塾も多いのでは。
算数は解説付きの例題が穴埋め式であるので、生徒が見てもわかりやすいです。ただ生徒の学力によっては、穴埋め式はわずらわしく感じることもあるかも。単元毎にまとめの問題があり、そこで演習量は稼げます。問題がぎっちぎちで余白スペースは少ないので、ノートは必須かと。
国語は漢字や意味調べもたっぷりあり、やり応えは十分。算数ほどぎっちぎち感はないので文章も読みやすいです。
また、文章読解の問題に入る前に“まずやってみよう”と簡単な指示があります。例えば“文の中で○○という言葉を見つけて線を引きましょう”的な。キーワードを拾って読み込めるので、漠然と読むのが苦手な子にはいいかもしれません。
さっぱりした表紙なので、あなたの学習塾名のシールとか作って貼ってもいいでしょう。生徒が友達の前でテキストを出したときなどに宣伝になりますよ。
NEW小学生ワーク(学書)。算、国、理、社。
こちらも小学生用のテキストとしては有名どころ(だと思います)。
教科書に準拠した教材です。しかも、理科社会も教科書準拠です。小学生用のテキストでは珍しいですよ。
そして、最初からテキストに赤刷りで答えが印刷してある指導書もあり。使うテキストに指導書があるだけで準備が相当楽になります。これとても有り難い。
算数、国語ともに問題数が豊富です。ただ例題が非常に簡潔(公式と説明が少しだけ)なので、予習で使うとなると生徒によってはサポートが必要。
それぞれのページ毎の問題数が豊富ゆえ、進むのにちょっと時間かかることも。レベルに応じて指示を出してあげるとかしましょう。
単元が終わるごとに“力だめし”という難易度が高い問題があります。余力がある子は挑戦してみてもいいかも。教科書より結構難しいですけどね。
別料金ですが、付属している確認テストの点数を入力して成績表を出力してくれるサービスもあります。目に見える形にできるので、保護者との面談に活用できます。
ピラミッド(教育開発出版)。算。
私立小学校ではこのテキストを使っているところもあるとか。
算数の例題解説がとても詳しいので、導入が非常に楽。できる子はノーヒントでも解き進められます。私の学習塾では教科書の予習に利用しています。
青っぽい色と黒色の2色刷りなので、見た目も綺麗です。コラム的な問題もあるので、早く解き終わった子の暇つぶしになります。
問題数はとても多く、別冊のチェックテストもあるので演習はたくさんできます。
惜しむらくは教科書準拠ではないこと。使用している教科書によってはちょっと飛ばしてあっちやってこっちやってとなるので、そこは指示してあげましょう。
また、教科書準拠ではないので国語は学校とはまったく別の文章になります。
私の塾は“のびのびじゃんぷ”で国語の教科書以外の文章を補完しているので国語のピラミッドは使用していませんが、算数を見ると国語のクオリティもいいのかも。
オンリーワン(学書)。算。
例題無しでいきなり問題のオンパレードなので、メインテキストとしては使いにくいですが、サブテキストとしては非常にいいと思います。
問題数がたくさんあり、同じような問題をくり返し載せてくれてあります。基本的な問題が多いかな。
余白も十分にあり、書き込みもしやすいです。
あまり算数が得意じゃない子に、とにかく問題を解きながら練習させたい場合にはもってこいですよ。
そして、テキストに赤刷りで答えが印刷してある指導書もあります。指導書があるとこちらが丸付けする場合などにとても楽になります。学書のテキストはこれが有り難い。
ただ教科書準拠教材ではありません。言い方あれですが、あまり勉強が得意ではない子が取り組むことが多いテキストですので、どこやるかはこちらが丁寧に指示してあげましょう。任せると危ないです(笑)。
公立中学校の生徒向けの学習塾テキスト。
メインの対象となる公立中学校の生徒。言い方変えれば稼ぎ頭です。気合い入れたいですね。
公立中学校も特に受験がないことも多く、生徒の力量はバラバラ。小学校では内容が簡単ゆえにあまり見えなかった学力差も、くっきりはっきり現れてきます。
そしてなにより、中学校に入った後には定期テストが定期的にあります(中間テストや期末テストとも言う)。そして点数が出て順位が出ます。成績評定もつきます。全ての成績が数字で明確になります。
それを見て、保護者は焦って、塾へ来る。
なので、とにもかくにも塾へ来た生徒の成績をあげることが先決になります。
公立中学生の成績をあげるには教科書準拠のテキストを使うのがベストでしょう。
中学校になると内容が深まってくるので、いろいろな素敵なテキストがあるんですよ。
このテキストもいいなぁって目移りしちゃうんですけども、中学校の定期テストの問題は教科書がベースになるので、生徒達がメインで使う教材はその教科書に沿ったテキストが良いと思います。
受験が近づいてきたら受験用の教材を用意すればいいですし。
ではいきます。
フォレスタ(スプリックス)。英、数、理、社。
英語のみ教科書準拠、他は標準版です。私は英語のフォレスタを英語のメインテキストに使っています。予習用にね。
すべきことや宿題にする箇所が書いてあり、指導方法がかなりマニュアル化されています。なので経験の浅いアルバイトを雇って指導するときに使うのもいいんじゃないでしょうか。
他の数学理科社会も準拠ではないものの、ポイントをまとめた導入部分があるので生徒達も問題を解きやすいと思います。
ただ、本音を言えば問題の難易度がちょっと低め。予習用ですからある程度は仕方ないか。
上位層になるとフォレスタだけテストに臨むのはちょっともの足りないと思います。
反対に、平均点を目指す生徒や演習量を重ねたい生徒にはとてもいいです。数学は類似問題が多く、理科社会も問題を解きやすいので、まるっと覚えさせれば点数に結びつきやすいですよ。
スパイラル(学書)。英、数。
英語、数学ともに準拠版あり。導入の説明が非常に詳しいです。私はこのスパイラルを数学のメインテキストとして使っています。予習用。
で、それでもわからなければ解説していく感じで使えます。
講師の話を聞くのではなく、自分で理解してから解くので生徒の記憶にも残りやすいです。
ただし、問題数が結構少ないです。必要があれば他の教材で演習量を確保しましょう。
まぁ予習用と割り切ればさくさく進めることにもなります。
英語も非常に詳しい導入が載っています。なので、前学年の復習が必要な子にはこのスパイラルの英語を渡しています。問題数が控えめなので、生徒の心が折れにくい(笑)。
ちなみに、導入部分が詳しいために他のテキストより分厚い(約300ページ)です。その意味ではインパクトがあるかも。
新中学問題集(教育開発出版)。数、理、社。
略して新中問と言ったりします。私立学校で教材として利用しているところもあります。
個人的に、正しい参考書みたいな表紙だと思います。どうでもいいですけど。
教科書準拠テキストではないのでメインには使いづらいものの、問題数を解かせたい子にはもってこいですね。
数学の解法を練習したいなら数学の新中問はおすすめです。ただ、説明はざっくりなので他で導入説明をしてからにしましょう。たまに定期テストのレベルを超えた問題もあるので、その辺は取捨選択を。
理科社会は導入説明がとても詳しく、自分でも演習を重ねることができます。思考力をためす問題もあるので、ある程度できる子ならより力がつくでしょう。
しかし、平均点に届かないレベルの子には厳しいです。悲鳴が聞こえます。そういう子の理科社会にはまずはフォレスタをおすすめします。
あと、この新中学問題集だけ本のサイズがB5なんです。他はA4サイズが多いので、ひとまわり小さめのテキストになります。生徒によってはちょっと解きにくいかも。拡大コピーしたり、ノートに解いたりして対応しています。
iワーク(育伸社)。英、数、理、社。
教科書に丁寧に準拠したテキスト。例題も丁寧です。
たま~にちょっと癖のある問題がまじっていますが、基本練習を重ねるにはいいですよ。
何よりすっごい綺麗なテキストです。理科社会にいたっては導入部分がフルカラーという。最初ちょっとひきました(笑)。そういうのが好きな子は喜んで解いています。
ただ、テキストの問題としては難易度が易しめ。上位層はもの足りないと感じるかも。
その補助として、育伸社のメンバーズサイトに登録することにより、便利なツールを使うことができます。私が使用するのは主に英語理科社会です。
ページを指定して一問一答のプリントを作成したりでき、小テストに便利です。
白地図や年表の穴埋め問題や、英語の不規則動詞変化表などもあります。不規則動詞変化表はエクセルで作成されているので、自分でちょっとアレンジもできます。
このツールを上手に使うだけで結構な演習量が確保できます。
ノートに貼る用の実験器具画像も印刷できるので、ノートを綺麗にしたい女子にちょっと需要あり。
栄光ワーク(エデュケーショナルネットワーク)。英、数、理、社、国。
正式名は“ワーク”ですが、便宜上もう栄光ワークと呼びます(笑)。
準拠している教科書が豊富です。ほとんど網羅しているんじゃないでしょうか。しかも指導書もあります。助かるわぁ。
大手の塾でメインに使っていることもあります。それだけメジャーなテキスト。表紙はさっぱりしてます。
教科書準拠教材にしては応用問題も多く含まれているので、上位層にも対応できます。というか、例題と練習問題、応用問題で難易度の差が結構あります。
…特に数学は、ここまでは定期テストには出ないだろという問題もちょいちょいあります。
何気に理科社会もそれなりに手応えがある問題が多いです。ある程度学力のある子じゃないときつい。
なので、平均点くらいでは全てを解くのは難しいです。間違いなく手が止まります。取捨選択をしましょう。
つまり、このテキストが全部解けるようになれば相当な力がついたと言えます。
また、国語の問題が非常にいい(と思います)。“文章の流れをつかもう”や“内容を捉え直そう”など、要約したフローチャートみたいな問題もあり、知識の整理に一役買っています。
新ワーク(好学出版)。英、数、理、社、国。
こちらも準拠した教科書が非常に多いテキストです。
難易度的には少し易しめで、平均点前後の生徒の練習にはうってつけです。問題の配置や内容など、解きやすい雰囲気があります。栄光ワークできつい子はこちらがいいかと。
定期テスト予想問題のページもあります。まぁ要はまとめの問題なんですけど、“定期テスト予想問題”というタイトルは生徒達にインパクトがありますよ。
数学の角度を求める問題や、理科のオームの法則など、演習を重ねたいところのトレーニングページがあるのでいいです。社会も記述式の問題がそれなりにあります。
国語と英語のテキストとしては、私の塾で一番人気があります。何となく解きやすいのでしょうかね。どちらも問題が豊富にあるので、がっつり解かせることができますよ。
ただ高得点を狙うなら、他のテキストでもう少し肉付けした方がいいかも。学校の先生が作るテストの難易度にもよりますけどね。
NEW BASIC(学書)。理、社、国。
ニューベーシック。教科書準拠テキスト。私の塾では理科と社会と国語がお世話になってます。上記のテキストがすぐ終わる子に追加で渡しています。
難易度的にもほどほどで、時々いいところをつく感じ。
特に理科は記述問題オンリーのページがあったりと、準拠テキストとしては珍しいです。記述問題がやりたいという上位層の子は多いですよ。
社会は資料や図の問題が多いです。その資料や図で幅をとってしまうので、問題数は少なめ。ただ、思考力トレーニングといって入試に向けた資料読み取りの問題もあります。
国語は他の比べ、結構こってりした問題の印象です。栄光ワークや新ワークができた子であれば取り組んでもいいかも。
このNEW BASICには、なんと実技科目のテキストもありますよ。