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学習塾の教室作りは楽しい。
学習塾を開業するときに一番楽しみなのが、教室を作っていくではないでしょうか。そんなことはないですか?私だけですか?楽しいですよ。
自分で学習塾を開業するということは、全て自分で決めた教室を作り上げることができるのです。理想の教室とか、考えてますでしょ。
しかし、いざ完璧と思った教室であっても実際に営業を始めると必ず改善点が出てきます。気をつけたいところとか。ええ、出てきましたとも。
でも、一度作った教室を作り替えるのは重労働。量によってはいい筋トレになってしまいます。
私の経験談から、ここはこうした方がいいよなるアドバイスを書いておきます。教室を作る参考にしてください。
自転車の止める場所。
レイアウトといいつつ、まずは教室の外から。
小中学生を対象とする場合、授業の時間帯には多くの自転車が教室の前に止まります。その自転車をどう置くかが結構な問題なのです。自転車の止め方いかんによっては、苦情が入ってもおかしくありませんよ。
テナントにもよりますが、基本的には教室の前に生徒達の自転車を置くことになると思います。
最初はいいですよ。1台とか2台とかそれくらいですから。嬉しいことに生徒が増えてきたらどうしましょうね。5台…6台…10台…。
共有スペースや通行人の邪魔にならないことは大前提です。ただ、自転車が増えてきたときに一番懸念したいのが、自転車ドミノ倒しです。
これ、ちゃんと止めててもなるときはなるんです。急な強風とか、誰かがちょっとぶつかっちゃったとかで。
倒れただけなら直せばいいんです。しかし、倒れた自転車で人にケガさせてしまったり、車に傷をつけてしまったりしたらもう最悪。授業どころではありません。
なので、自転車がドミノ式に倒れても大丈夫なように事前に策を講じておく必要があります。
道路や歩道すれすれには置かず、倒れてもいい余裕を確保しておくとか、倒れてもはみ出ないように少し大きめの物を置いてストッパーにするとか。
↑こんな感じの置くだけで転倒を防止してくれるものもあるようです。
大手の学習塾では近くの駅の駐輪場を使っている場合もありますが、個人で開業するとなると駅前はレベルが高い。
スペースが十分にないときは、駐輪場として使っていいか確認した上で駐車場を借りるのもひとつの方法です。
また、自転車を止める場所の傾斜も考慮してください。平坦な場所でないと、止めた向きによってはひとりでに自転車が動き出します。
あなたが自転車はこう止めると決めたなら、生徒達には必ず“どの場所に” “どの向きで”自転車を止めるのか徹底して周知させてましょう。
あと、施錠もしっかりするようにね。
窓の掲示物の注意点。外からも教室内の様子が見えるように。
外から見えるように、窓の内側から外に向かって合格実績や広告を掲示することもあると思います。
“無 料 体 験 募 集 中 !”とか貼ってあるでしょ。ただ、その際に注意したいのが、
はがれていたら即直すこと、
色があせてきたらとりかえること、
貼りすぎないことと、
です。
外から見える重要な広告を、はがれているのをそのままにするのは論外です。だらしないからね。いいね?
ただ、学習塾の活動は基本夕方から。掲示物の色あせてきているのにはなかなか気がつきにくいのです。
外に向けて貼ってあるので、掲示物達はお日様を一身に浴びています。もう日に日に紫外線で脱色ですよ。
掲示した向きや季節、印刷物のインクにもよるでしょうが、色あせた掲示物は退廃した雰囲気しか醸し出しません。気がついたら即座に新しい物を用意して貼り直しましょう。
そして、何より掲示物を窓に貼りすぎないこと。
時々、窓や入り口に広告や店名がびっちりのお店を見かけませんか。アピール意識が全面に出ているところ。学習塾でそうなると、
実際、保護者の方はこう感じています。
何も全部をさらけ出す必要はありませんよ。でも、多少なり教室内が見える方が子どもを預ける親としては安心なのです。特に女の子の保護者の方はね。外から中が見えないと、完全な密室状態と同じですからね。
これは2階3階のテナントの場合も同様です。見上げたときにちょっと教室の中の机などが見えるだけで、全然印象がちがいますよ。
また教室内からも外が見える方が、広く見えていいです。息も詰まりません。
ちなみに、外から見える窓の掲示物は“ウインドウサイン”というらしいです。
最初はお金ないので自分でプリンターで作成しますが、多少予算に余裕が出てきたら業者に作成してもらうのもおすすめです。
ガラス越しに見える部分も気をつけて。
外から教室内が見えるのは重要です。しかし、見せちゃ困るものもあります。
“ホコリをかぶったコード類”や“コピー用紙などのだらしなく開いた段ボール”、“机の上に無造作に積み重なった書類”などですね。
いくら立派に見える学習塾でも、ちょっとしたことでだらしない印象を与えてしまいます。
もちろん、コードや段ボールをゼロにすることはできません。しかし、生徒に対して“やることはきっちりやれ!”という立場になりますので、うまい具合に隠して整理整頓感を出していきたいです。
土足ではなく靴を脱がせる。
教室内では、土足ではない方がいい。玄関で靴を脱いで授業を受けてもらいましょう。床の素材によっては、スリッパがあった方がいいかもしれません。マイスリッパを置いておける学習塾もありますよ。
大手では土足のまま机に座って授業を受けるところもありますが、あれ掃除が非常に大変です。
小中学生の靴は文字通り百戦錬磨。グランドを砂塵を巻き上げて走り回り、多少ぬかるんだ通学路も通り、雨が降っても靴で強行突破です。
土足で入る教室は、外の延長線。床は定期的な水拭きが必要になり、机や備品も汚れやすくなってしまい、痛みも早くなります。
玄関で脱いでもらえば、砂や泥や水はそこで食い止められるというわけ。玄関の掃除だけならそこまで手間ではありませんし、教室内の掃除も楽です。
学習塾は清潔感も非常に重要です。土足は厳禁ですよ。
入り口に大きめの観葉植物。
これね、余裕があればあった方がいいです。150㎝くらいの大きめの観葉植物。3000~4000円で買えるんじゃないかな。ちょっと高いけどね。
入り口は塾へ来て最初に通るところ。そこを通って緑が見えると、かなり気持ちがリフレッシュされます。植物とは不思議なものですね。
初めて教室に来た人に対してもとても印象がいいですよ。生きた緑があると生き生きとした教室に見えます。
まぁあとは空気が綺麗になったり、湿度が調整されたり、マイナスイオン出たりするんじゃないですか(適当)?これは誤差レベルだと思いますけど。
でも、冗談抜きに繁盛している学習塾には必ずと言っていいほど観葉植物があります。
御守り代わりにいかがでしょ。
死角を作らず、どこからも入り口が見える。
教室の形によりますが、あなたが教室のどこにいても入り口が見えるようにしておきましょう。仕切りすぎないというか。
まぁ一応防犯上の理由もありますけれど、何よりあなたがどこにいても生徒がきたことがわかるのです。
生徒がきたら即あいさつ。生徒がしようがしまいが関係ありません。あいさつは先手必勝です。
あなたがどこにいても生徒がきたことがわかる。それっぽく言えば“存在を肯定する”わけです。
ちゃんとあなたを見てるよ、来たことわかってるよ、とね。帰るときも同じ。
生徒ひとりひとりを気にかける。顔を見たらあいさつ。子ども達も内心喜んでますよ。
そうして信頼関係が構築されていくのです。
教室内レイアウトを決めるときの机の間隔。
学習塾は人が多く集まります。かといって机をぎゅうぎゅうにしたら隣の人が気になってしまうかもしれません。なので、ここでは心理学の世界のパーソナルスペース(不快に感じない距離感)を考えてみましょう。
①密接距離(0~45cm)…夫婦や恋人、家族などのごく親しい人間の距離。
②個体距離(45~120cm)…友達同士の距離。手を伸ばせば相手に触れ、感情も読み取れる。
③社会距離(120~360cm)…相手には触れないが、会話ができる距離。商談などのビジネスの距離。
④公共距離(360cm~)…相手の様子がわからず、個人的な関係が作るのが難しい距離。講演会など。
アメリカの文化人類学者エドワード・T・ホールによって大別されました。厳密にはもっと細かく区分されていますが、どれもテストには出ないので覚えなくていいです。
例えば友達と話すとき①密接距離(45cm)だと “なんか近いな…” と感じ、③社会距離(120cm)だと “なんかよそよそしいな…” と感じるというわけです。実際やってみるとわかりますよ。
要は生徒同士が座る距離があまりに近いと、集中力に影響しかねないということです。とはいえ、離して置くとスペースとりすぎます。
そしてあなたが巡回するから机の間に人が通れなければならない。なので、どうやって机を置こうか。
①のように机と机の横の距離。ここはおおよそ50~60cmくらいかな。
中肉中背モデルのような私の体型なら、50cmであれば割と通れます。ただ、通るとき生徒のテキストが机からはみ出ているとちょっと気をつけないと。あと、机の近くで腰を落として説明しようとするとちょっときつい。
60cmの間隔があれば、座っている生徒から見て隣の生徒はほとんど視野に入りません。私が歩くとき、床に生徒のカバンが置いてあっても、通りながら向き変えたりしゃがんだりもできます。
60cm以上空くとすかすか感がすごいです。陸の孤島のような。
また、②のように椅子を挟んで後ろの机との間隔。ここは80~90cmは欲しいです。
間隔が80cmあれば、生徒が椅子に座っていても、なんとかその後ろを通り抜けることができます。ただし横歩きでですけど。なので、前すれすれを横歩きされる生徒は結構圧迫感あるかも。
90cmあれば、普通に歩いて通れます。すいすいです。
それで机の外寸を考えれば、どんな感じに机が置けるか想像ができます。
あくまで理想はこれくらいだと思いますが、教室のキャパシティや収容したい生徒数で調整をしてください。
エアコンの風や光のあたり具合。
そして机を置くときに考えねばならないのが、エアコンのあたり具合や光の加減です。
暑がり、寒がりと体感温度は人によってちがいますので、エアコンの風がよく当たる場所やそうでないところを用意してあげるといいでしょう。
また、光の加減です。
教室全体は明るいように見えても、実際座って勉強をしてみると明るすぎてノートがまぶしかったり、反対に手元が暗くなったりすることがあります。
お恥ずかしながら、私は最初左利きの子の手元の明るさを全く考えていませんでした。生徒に言われて初めて気がついた。右利きとは手元の影が逆になるのです。
些細なことかもしれませんが、教室見学の希望者にそのことを説明すると細やかさに驚かれます(笑)。
とか思ってくれてたら嬉しいなと日々妄想してます。