
国社数理英、5科目は必須科目。
中には一部の科目しか教えることができないという人もいるかもしれません。そして、できない部分は人を雇って対応すればいい、映像授業に任せるからいいと考えるタイプの方。
専門性が高まってくる高校の学習内容ならいざ知らず、小中学校の学習内容でその考えは改めてください。自分で指導できないなら今から勉強して指導できるようにすればいいのです。どうせ自分はできないからと、最初から他人や映像教材を頼らない方でください。
小中学校はいわゆる義務教育です。私もあなたも誰しもが通い、同じ内容を学習しているはずです。誰しも修めた学習内容を指導できないというのは、自身の努力不足を吐露しているのと同義。
学習塾の教室は、少なからず勉強をしなさいという空気を持った空間になります。その教室のトップであるあなたが勉強をしていないとなれば、示しがつかないのは言うまでもありません。
進路などの勉強に対する動機が明確な高校生とは異なり、小中学生の勉強の動機は曖昧なことが多いです。
“親がうるさいから”
“周りがやっているから一応”
“とりあえずなんとなくやってる”
そんな状態の小中学生の子が、勉強していない人間から勉強しろと言われたらどう思うか。もはや想像に難くないでしょう。
指導できないことを隠してばれないようにしていたとしても、子ども達は必ず見抜きます。自分ができないのにアドバイスをしても、言葉に説得力など皆無。そんなトップからは人はどんどん離れていきますよ。
他の講師や映像授業が対応するからいいって言ってもさ。
例えば自分が指導できない科目の講師を雇ったとしましょう。とても頼もしいですね。
その講師が急に長期間休んだり辞めてしまったりしたらどうしますか。生徒は時間になれば教室にやってきますよ。
勉強するために生徒が塾に来たのに、
“自分じゃ内容がわからないから授業できない、ごめんね”
んなもん許されるわけがありません。一発で信用を失います。
急なイレギュラーにも、全て自分一人で対応しなければなりません。個人事業主とはそういうもの。自分の学習塾を守れるのはあなた一人しかいないのです。
私は基本的に人を雇わず一人で学習塾を経営することを勧めています。
仮に講師を雇うとしても、あくまで講師を雇うのはサブ的な役割を任せるため。雇った講師をあてにすると、必ずほころびが出てきます。
“自分ができることを、時間的な理由から他の人を雇って任せる”
というスタンスが大切です。ホームページ制作や税務ならともかく、学習塾の根幹とも言える教務において、自分ではできないことを人に任せるのは非常に危険ですよ。
そして映像授業に頼るとしても。
理解状況なんて生徒各々異なります。全ての生徒に理解させる授業など存在しません。映像授業を聞いても、わからないところがあれば当然生徒はあなたに聞いてきます。
そこでわからないと言うわけにはいかないでしょう。
指導できなくても大丈夫!講師を雇わず映像授業で!
な~んて売り文句も、映像が通用しなければ誰も助けてくれないってことです。
もちろん、勉強の指導以外にも仕事はたくさんあります。ただ、そんなことは生徒達には関係ありません。
私達に映像を見せて、質問に答えてくれないって、この人は何しているんだろう?
と思われて終わりです。
結局のところ、最後に頼れるのは自分なんですよ。
というか、最後の砦は自分にならざるを得ない。だってあなたの塾ですもん。
別にできないことは問題じゃない。
勘違いして欲しくないのは、私は別に “小中学校の五科目が指導できないなら学習塾はやるな!” といっているわけではありません。
何事も、できないこと自体は問題じゃないんです。
できないことをできるようにしようとしないことが問題なんですよ。
学習塾は勉強を教える場所。勉強というのはできないことをできるようにすることのくり返しです。
そのトップに立つ人の姿勢は重要になりますよね。言うまでもなく。
最初から他人ありきではなく、できるところまでは自分一人でやってみる。その経験全てが自分の財産になります。
小中学校の5科目が指導できれば、しばらくは一人で教室を回すことができます。固定費(人件費)も節約できます。
開業当初ははっきりいって生徒数はごくわずか。その間にがっつり勉強すればいいんです。
自分で料理ができない人が “自分のレストランをはじめる!” と言ったとしても、周りは “なにいってんの?” となるでしょう。学習塾とて例外ではありません。
しかし、必死に練習をし、料理に打ち込む姿をしっかり示せれば、ついてくる人は必ずいます。努力する人間には牽引力があるのです。
学習塾は勉強に取り組ませる場所。その場所であなたは生徒に指導する立場に立つのです。自らが率先して模範を示すよう、できないからと投げずに精進していきましょう。