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授業は生徒が受け、お金は保護者が払う。
基本的に学習塾のアルバイトの場合は、受け持つ生徒やクラスの生徒のみと接し、その保護者とのやりとりは教室長などが行います。
言い方を変えれば学習塾のアルバイトであれば、目の前の生徒のことだけを考えていればよいのです。
しかし、自分で学習塾を開業した場合は話は別。自分で学習塾を経営する場合は保護者の側の視点も絶対に忘れてはなりません。
学習塾には、他の業種のビジネスモデルと比べ決定的に違う点があります。
それはお金を払う人間(保護者)とサービスを受ける人間(生徒)が異なること。
そしてこちらから見ると、サービスを受ける人間(生徒)とは毎週顔を合わせて話をしますが、お金を払う人間(保護者)と直接話す機会はかなり少ないのです。
“我が子はちゃんとがんばっているかしら”
“塾に入れた効果はあるのかしら”
“先生はちゃんと見てくれているかしら”
保護者からすれば、こういった声はごもっともなのですよ。
であれば、学習塾内の様子を保護者にわかるようにすればいい。簡単な話です。
そのために保護者とのコミュニケーションが必要になります。
つまり、学習塾を経営していくためには生徒と同時に保護者に対しても配慮をしていくバランス感覚が重要になります。
学習塾を開業してからアルバイト時代を思い出すと、保護者への様々なフォローは教室長がやってくれていたんだなぁと実感します。
人を雇って学習塾をやるとしても、さすがに保護者の対応は他の人間には任せられないでしょう。あの人はなんなのと信用にかかわります。
自分の学習塾のことは自分で全て把握し、保護者との対応に備えておきたいです。
保護者とのコミュニケーションの取り方。
まぁ自分の子どもの成績がすぐあがれば、保護者も学習塾の効果が目に見えてわかります。
しかしどんなに指導力に自信がある講師であっても、成績はそうそうすぐに上がるものではありません。勉強の成果が数字で見えるようになるにはどうしても時間はかかります。また、成績を伸ばそうと学習塾でがんばっている生徒の様子も保護者にはわからないのです。
その状態が続くと、
“塾に入れたけど成績が上がらない…“
“塾でしっかり勉強しているのかしら…”
と保護者は不安に感じます。お金を払う側の保護者の不安をそのままにしてしまっては、退塾につながりかねません。
そこで、
“以前はできなかった問題が少しずつできるようになってきています!”
“部活で疲れているようですが、授業は集中してがんばっていますよ!”
どんな些細なことでもよいのです。積極的に保護者に伝えていきましょう。
では、具体的にはどうやって保護者とコミュニケーションをとるのか。
面談を実施する。
一番メジャーなのが面談です。
保護者生徒あなたの三者面談か保護者とあなたの二者面談ですね。
成績が出たときやテスト後など、話題が豊富なときがよいでしょう。受験生であれば、進路相談なども実施できます。
しかし、そうそう面談を頻繁に行うわけにはいきません。このご時世、ほとんどの保護者は仕事をしています。
学習塾で面談がするとなると、時間帯的には保護者の仕事が終わった時間以降、あるいは土日になります。
日中我々は授業がないからいいですが、その時間帯に実施するのも…学習塾の面談レベルでさすがに有給とらせるわけにはいきませんよね。
頻繁に面談のお知らせをしていては、さすがに保護者もわずらわしく感じてしまいます。正直、面談の実施は学習塾の側も結構な負担です。
年に2回、多くても3回が限度でしょうか。
何かの連絡をもらったときに。
考えて見れば、話の機会を作ることが全てではありません。
何かの際にちょっと保護者と話をするだけでもかなりちがいます。
直接顔を合わせることは少なくても、電話やメールで連絡をもらうことは結構多いです。
“体調不良で休みます”
“この日は用があるので少し早めに終わりにしてください”
“迎えが少し遅れそうですが、待たせてもらってもいいですか”
“美味しそうなコーヒーをもらったので持たせました、よかったらどうぞ”
私は何かあったらどんどん連絡くださいと言ってあるので、皆さんどんどん連絡をくれます(笑)。
例えば体調不良で欠席の連絡をもらったときに、
“この前の授業のときは元気だったので、心配です。まずはゆっくり休ませてあげてください。前のテストでは数学がよくできていたので、体調が回復したらまたいっしょにがんばろうとお伝えください”
“入塾直後に比べ、勉強の姿勢が変わって来たように感じます。ただ具合が悪くても時々無理して勉強していることがあるので、ご家庭でも声をかけてあげてください”
などです。
連絡をもらったら必ずこちらも返事をしますよね。
メールであれば保護者も時間があるときに読めますし、電話ならすぐにレスポンスができますので時間をとらせません。
せっかくの機会なので、可能なら積極的に活用したいです。
送迎にきてくれたときに。
生徒を車で送迎してくれたときに話をすることも可能です。
自転車や徒歩で学習塾へくる子の家庭も、雨が降ったりしたときは車でくることもありえます。
送ってくれたときは我々も後ろに授業が控えてますので、授業後の迎えのときの方がいいですね。車の窓越しでもいいんです。
“お待たせして申し訳ありません、○○さん苦手だった英語の予習をよくがんばりました。学校の授業も少しずつわかるようになってきたようです”
“いつもお迎えありがとうございます。今回のテストで、前よりも○番順位があがっていますね。お家でも褒めてあげてください”
といった感じに。私は結構これやります。
授業が終わったあとなので、簡単な立ち話もできます。保護者によってはラフな面談みたいな感じに。
あまり生徒数が多すぎると厳しいですけど、開業してしばらくは絶対やるべきですよ。
管理人りきち的まとめ。
親であれば誰でも、自分の子どものことは気になって仕方ないのです。
まして、我が子の教育のためと学習塾に入れる家庭ですからね。推して知るべし。
お金を払っているのが保護者で授業を受けるのが生徒、それが学習塾。言うまでもなく権限はお金を払っている保護者にあります。
保護者を不安にさせないためにも、適度にコミュニケーションをとる必要があります。
“今度○○さんの保護者に会ったら、△△を伝えよう”
と生徒それぞれに話題をストックしておきましょう。
電話や送り迎えなどの事務的な場でも、一言添えるだけで印象ががらりと変わります。お店やホテルなどで、そういった経験はあるのではないでしょうか。
学習塾は人と人との商売です。そして人には気持ちというものがありますな。
せっかくのご縁で入塾してくれた生徒と保護者、こちらから感謝の意を伝える意味でも、まめにコミュニケーションをとっていきましょう。