指導対象は「公立小中学生」に絞る。

学習塾を開業するなら、公立小中学校を対象にすべき。

学習塾といっても、指導の対象とする生徒はその塾々によって変わります。
これから開く学習塾でどのような生徒を対ターゲットにするか、既に決まっているでしょうか。
私のおすすめは公立の小中学生を対象にした学習塾です。高校受験が終わったら塾から卒業です。
生徒が欲しいからといって、ありとあらゆる生徒に対応するのは絶対にやめた方がいい。

りきち
というか無理です。全てに対応は。
確かに“どんな生徒にも対応!”というと聞こえはいいです。けれど、現実は中途半端な学習塾ができあがるだけです。

そもそも、学習塾の仕事は生徒が来てからの授業のみではありません

レストランのシェフが開店前から料理の仕込みをするように、学習塾も生徒が来る前、授業の準備を入念にする必要があります。

学習塾は、授業準備がメインの仕事です。授業は料理を盛りつけて運ぶ時間ですよ。ちゃんと準備してなきゃグダグダになります。

そんな中、指導対象を広げてしまうとどうなるか…。

公立小中学校を強く勧める理由。

もちろん私の学習塾も現在、公立小中学校に通う子ども達を対象としています。

お恥ずかしながら開業当初は私も、私立小学校や中学校、希望があれば高校生を指導対象にして指導していました。しかし、

りきち
あ、これきついわ。

と思い、公立小中学校以外の新規募集はすぐに打ち切りました。

幸い対象者は3人だけ。1人の高校生は大学受験を、2人の私立中学生は高校進学を機に他の学習塾を勧めました。

りきち
ちょっと申し訳なかったですけど…もらうお金に対しての価値も提供できそうになかったので。

 

その経験を踏まえ、公立小中学校対象を勧める理由を3つ説明します。

授業準備の面。

くり返しになりますが、学習塾の仕事の中心は授業の準備です。これが結構時間がかかるのです。

私が丁寧にやりすぎなのかもしれません…けど、手は抜けないのです。

私立小学校、私立中学校の場合、学校毎に授業の進度も使用する教材もまちまちになります。

そして変にひねった応用問題にも取り組むため、準備にとても時間がかかるのです。

さらに、準備が活かせるのはひとつの学校のみ。他の私立学校の子がいれば、そちらの準備もしなければなりません。

何より学校が異なれば行事の日程も全然異なります。

テストの日程も宿泊行事も学校毎にばらばらなので、各々に対応する必要があります。

りきち
終わったと思ったら、今度はこっちがテスト!?修学旅行の休みの分どうしよう!!この週は放課後学校の補習が入るの!?

 

だいぶ気を張っている必要がありますねぇ。

反面、公立学校であれば授業の進度も行事の時期も、ほぼ一定です。

公立小中学校は使用する教科書も地域によって決まっています。定期試験もほぼ同時期に実施。学習内容もそこまで難しくなく、応用問題といってもストレートな問題が多い。

近隣の学校であれば教科書が同じなので、一度準備でかなりの生徒分をカバーできます。その空いた時間で他の教材や過去問の研究をしていけば、授業のクオリティをどんどん高めていくことができます。そうすれば通っている生徒達の満足度も高まるでしょう。

受験の面。

学習塾へ通っているということは、どの生徒も遅かれ早かれ受験しますよね。

受験の時期になると、受験しない学年の授業準備に加え、受験に対しての準備も平行して行う必要があります。

私の地域では私立小中学校、私立高校を受験する場合、受験する学校によって問題が異なります。しかも量が多く難易度が高め。

つまり、1人でもその私立学校受けたいという生徒がいれば、1人のために希望校の入試問題を研究する必要性が出てくるのです。

これが2、3人ならともかく、何人も増えてきたとしたら…大変なことになりますね。

また、私立小中学校の受験の場合は特別な解き方(植木算や鶴亀算、旅人算など)を使う問題も多くあります。なまじ現時点での学習内容しか使えないがために、説明するのにも時間がかかり、労力に見合いません。

私立の小中学校の受験指導は、経験者でないと難しいでしょう。

反対に、公立高校の受験はどの学校も共通の入試問題です。大都市近郊では何パターンかあるようですが、それでも私立学校の問題に比べれば可愛いもの。なので、時間をかけて入試問題を研究し、準備をすることができるのです。

基本的に公立高校の入試問題は教科書に即しています。なので、難易度もそこまでではなく、比較的容易に説明ができます。またシンプルな問題も含まれているため、下位学校を受験する生徒に対しても、正解したい問題と捨てる問題の取捨選択がしやすいのです。

時期的な面でも、高校受験の試験は2月3月が中心なのに対し、小中学校受験や大学受験は年明けから試験が見えてきます。

その間、ず~っと神経質になっていなければなりません。

りきち
新規生徒募集のラッシュも、その辺の時期ですよ。やったね!

 

うん、精神衛生上よくないね。

人材確保の面

最後に人材確保の面。

基本的に私は自分1人で学習塾を回すことを勧めています。

しかし、人によっては人手が欲しくなり人を雇うことがあるかもしれませんね。

私立学校の指導、私立学校の受験指導ができる人材はかなり貴重な人材です。

学力的にはできる人は多いかもしれませんが、準備して指導するテクニックとなるとまた話は別。さらに自分の時間を割いてそこまで熱心に働いてくれる人は、引く手あまたでしょう。

そしてその人材を育てるとなれば、あなたの負担がかなり増えます。

塾業界のブラック化が叫ばれる現在、準備の時間にも給料を支払う流れになっています

りきち
まぁ、冷静に見れば当たり前のことですわ。

ただ、経営的な面から言えば、準備に時間がかかるということは人件費がかさむことに他ならないのです。

反対に公立高校受験であれば、難易度的にもとっつきやすく、問題も共通なため指導がしやすい。

基本的な中学校の教科書は誰しも修めている学習内容です。進学校へ通っていた人となればいわずもがな。雇った講師を育てるという面でも負担は少なくて済みます。

りきち
公立小中学生対象の学習塾で講師を雇うのであれば、大学より出身高校を見た方がいいです。

とにかく、門戸を広げすぎちゃダメ。

生徒を集めたくて門戸を広くしたいという気持ちはわかります。ただ、それは半端な指導を生みかねないとともに、最終的には自分の首を絞めることにつながってしまいます。

時間がないからといって準備不足で授業に臨むと、必ず失態をさらします。それが続けば生徒達も不安となり、保護者の耳に入れば退塾へとつながりかねません。生徒が欲しくて対象を広げたのに、それでは本末転倒になります。

ちなみに高校生を対象とした学習塾を開業するのは厳しいと言わざるを得ません。授業準備の面、受験の面、人材確保の面、いずれも労力に見合わないと思います。

自分が大学で専攻していた科目がある場合や、高額な授業料でごく少数の指導をしたいということならあるいはですが…やはりおすすめはしません。

1日の時間は誰でも平等24時間です。年末年始や休日返上などもってのほか。

りきち
私は好きで現在学習塾をやっていますが、それでも休みはしっかり休みたいです。

 

なので、指導対象を幅広くするのは考えた方がいいと言っておきます。

指導する対象を絞ったとしても、問いあわせはちゃんと来ます。実績を重ねれば、十分な生徒数が確保できます。

自分がどのような学習塾を作りたいのか。自分の得意分野は何なのか。生徒をさばく能力、教室のキャパシティがどれくらいなのか。

もらうお金に対して、どこまでなら責任持って価値を提供できると言えるのか。

公立小中学校が対象の学習塾、おすすめですよ。

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