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少人数指導塾とはなんぞや。
集団指導塾が約20人くらいで授業をするのに対し、少人数指導塾では4~6人くらいで授業を行います。
ま、100人から見れば20人だって少人数。そもそも少人数って、その人の価値観によるわね。どんな人生歩んできたのかとか。
真面目な話すると、多くても8人くらい?が上限だと思います。
大手塾の中には生徒達を学力別にクラスを分けて、少人数にして指導をしている塾もあります。
少人数指導は、自宅の一部を教室として開いている個人塾が多くとっているスタイルです。8畳あれば、ちょっと詰めれば6人いけます。開業当初、私も自宅の空き部屋で少人数指導をしてました。教えることができる最大の生徒数が少なくても、家賃がかからなければ自分一人で指導しても収益は出ます。
しかし、テナントを借りるとなると話は別。問答無用で家賃は出ていきます。これ1クラス分を常に無料で授業するようなもの。テナントで少人数指導を開業するなら、何人か講師として採用しないと収益的に厳しいです。
少人数指導は自分一人でさばける生徒数は限られています。誰かに手伝ってもらわないと多くの生徒が抱えられず、収益が出にくいのです。
しかし、テナントを区切っていくつか教室を作るので、生徒達の回転を上手にすればいい感じの学習塾になります。日によって教室を変えれば生徒達も飽きにくいですし、ちがう学年の子が同じ時間に授業を受けるので刺激的な空気感が生まれます。
そして少人数指導は生徒との距離が近いので、授業中のやりとりも楽しくなりますよ。
少人数指導塾のメリットは?
ターゲットを絞った塾を作りやすい
人数が多くないということは、そのグループに即した授業をしやすいです。
例えば「数学専門の塾」や「トップクラスを対象にした塾」「補習がメインの塾」などの、テーマ性を持った塾にすることが可能です。そう看板を掲げておけば生徒達もそのつもりでくるので、みんなの足並みがそろいます。
足並みがそろえば、授業の計画が立てやすく、準備の時間も節約できます。学習塾は授業の準備が主な仕事なので、そこの負担が減るのは大きい。
「数学と言えばあの塾」
「ハイレベルな問題がどんどん出来るようになる塾」
「学校についていけない子も丁寧に面倒をみてくれる」
といった評判が定着すれば、競合塾との差別化が図れます。あなたの得意分野で勝負するのもいいですね。
生徒達の仲が良くなり、友達が入塾しやすい
人数が少ないので、その分生徒達の仲がよくなりやすいです。全く知らない子同士でも、しばらくすれば休み時間に仲良く話をしています。初めて会っても学年は同じなので、話題は合うのでしょう。
そうしてお互いが切磋琢磨し合えれば、素敵な環境のできあがり。みんなで同じ授業を聞くわけですから、競争も生まれますね。
一人入塾してくれれば、学校で仲がいいグループの子が入塾してくれるかも。規模が小さいゆえ、人と人との距離が非常に近いのです。
仕事においても人間関係は重要じゃないですか。子ども達にとっての学習塾も同じなのです。
学校以外で友達と会える。子ども達も、多少授業がかったるくとも、塾へ行くのが楽しみになります。
初期費用がそこそこ安い
少人数指導塾は、やろうと思えば自宅の空き部屋でも開業できます。そうすれば、敷金礼金仲介手数料および家賃がぷかぷか浮きます。これはでかい。
テナントを借りて什器をそろえるにしても、がんばれば費用を抑えることができます。教室の数だけホワイトボードは必要ですが、その他の机や椅子は集団指導塾と同じくらい。あるいはもっと少ないです。
部屋を仕切っていくつか教室を作るのも、別にパーテーションでなくてもいいのです。例によってパーテーション高いし。汎用性ないし。
個別指導などではなく、授業をする教室を仕切るだけなので、ちょっと背の高めの本棚や引き出しとかでも十分です。
ちなみに声は筒抜けですので、適度な声量で。まぁ、他の授業の声が聞こえるのも緊張感があっていいですよ。
集団指導と同じく、早めに開業に漕ぎ着けるので、すぐに行動に移せますね。
少人数指導塾のデメリットは?
大きな利益は出しづらい
基本的に学習塾の収入は「月謝×生徒数」です。
一度に教える人数が少ないということは、当然それだけ利益は少なくなります。一度に見られる生徒数が少ないからと月謝で調整するにしても、少人数指導というだけでは集団指導塾の月謝の2~3割増しが限度でしょう。
それなりに高額の月謝を出すのであれば、いっそのこと少人数指導ではなく個別指導に行くか家庭教師を頼むという保護者も多いです。
少人数指導は、規模の小さい集団指導塾。少人数の線引きは人によってまちまち。良くも悪くも、学習塾としての絶妙なポジショニングなのです。
決め手に欠け、季節講習(夏・冬・春休み)や受験シーズンに弱い
くり返しになりますが、少人数指導は集団指導の縮小版というイメージがどうしても強い。少人数指導それ自体は、入塾や在塾する決め手に欠けるのが現実です。
そのため、「これだ!」という+αのインパクトが絶対に欲しいところです。
なまじっか規模の小さい集団指導塾ですので、あまりインパクトがないと
「近いから今の塾にしたけれど、季節講習くらいはみんなが行く大きい塾へ行こうかな」
「来年受験生になるから、大手の塾も考えてみようか」
と考える家庭が出てくるのも珍しくありません。
季節講習も受験期も、どちらも塾としてのかき入れ時です。サラリーマンで言えばボーナスがもらえる月ですよ。そこで生徒が減ってしまってはモチベーションにかかわります。
少人数指導の個人塾達曰く、
「夏期講習だけ大手に行って出戻ってきた。」
「中学3年生になるときに退塾する子が多い。」
そうです。どうしても現実としてあるので、自分の学習塾ならではの強みを明確にし、生徒と保護者をひきつけておかねばなりませんっ。退塾されるって、精神的なダメージでかいですよ。
退塾ドミノ倒し
ま~た退塾の話ですけども。
自分の学習塾に通っている生徒達の仲が良くなるのは、見ていて非常にほほえましいものです。弟妹のような、あるいは我が子のような、そんな目線で見てしまいます。
ところがどっこい、仲が良すぎて一人が辞めてしまうと芋づる式にどんどん辞めてしまうことも考えられるのです。友達が通っているから入塾した、という動機が多くなる指導スタイルですので、その点ご留意ください。
授業のときの人数が少ないので、一人抜けただけでも結構気まずい空気になるんですよ。生徒達も我々の側も、そのことに触れちゃいけないみたいな。でもこちらは聞かれたら答えなければならないし…という。
講師の確保をどうするか
そして集団指導塾と同じように、講師の確保が課題となるでしょう。
集団指導塾は自分一人でもなんとかなりますが、テナントで少人数指導をする場合は講師を採用するしかありません。
生徒の人数は少なめとはいえ、数人を引きつける求心力は必須。教室を小分けにして授業をする分、講師の人数も多く必要です。
あまりぎりぎりで回していると、イレギュラーの際に対応できません。
講師を雇うということは、抱えることができる生徒数が多くなると同時に、我々雇う側に責任とリスクが発生するを意味します。
まともな(?)人材をどうやって確保するか、いかに継続して働いてもらうか、しっかり仕事はしているか…生徒方面のみではなく、採用している講師方面にも気を配る必要があります。
少人数指導塾でのシミュレーション。
このシミュレーションは、一般的な少人数指導塾を元にした仮定法です。簡単なイメージ付けにどうぞ。
今回最終的に目指すところは、
対象は公立小中学校の生徒(小学5年~中学3年)。
小学生は国語と算数、中学生は英語と数学のそれぞれ2科目をメイン。
売上で1500万くらい。家賃や人件費を含む経費(600万前後)と税金(所得税や住民税、消費税、個人事業税、健康保険税など)を引く。小規模企業共済や確定拠出年金などの控除系もそこそこに活用。
結果、おおよそ手元に残るお金で500~550万くらいを目標。
土日は意地でも休む。
では、いきます。
まず、目標とする売上は1500万円。単純に12ヶ月で割れば、1ヶ月で約125万円売り上げることになります。
しかし学校が長期休みの間は季節講習(夏期、冬期、春期講習)になるので、そのときは季節講習費を上乗せできます。なので、1年間を通せば12ヶ月分の授業料よりも多めの授業料を得ることができると考えていいでしょう。
だいたい夏期講習で1.5~2ヶ月分、冬期講習と春期講習で1.5~2ヶ月分プラスされます。これくらいがちょうどいい。欲張っちゃだめ。
なので今回1年を15ヶ月で考えると、1500万÷15ヶ月=約100万円
とりあえず、1ヶ月に100万円売り上げるような授業料設定が必要。
結構な売上に見えますが、複数の講師に給料を払うにはこれくらい売り上げないと手元にほとんど残りません。
少人数指導塾の場合、教室のレイアウトは比較的自由です。
とりあえずこんなもんでしょうか。教室がいくつかに分かれるので、面談机(教務机)から全体が見渡せる方がいいでしょう。
部屋を区切るので多少スペースに余裕は欲しいですけど、これくらいの机の数なら全部で15坪(約50㎡)くらいあれば入ります。
少人数指導塾の場合は、テナントの部屋の形が若干変でも区切り方である程度対応ができます。選択肢が広がっていいです。選べる喜びよ。
上のレイアウトでは教室を3つに分けました。便宜上①、②、③とします。その上で時間割はこんな感じかな。
小学生はAとBの2クラス、中学生はA~Dの4クラスとしました。
ええ、もちろん割り振りは適当です。ここでぜひ見てもらいたいのが、
例えば、小学5年生でAクラス(月・木)に入塾した子は、中学3年生の卒業まで塾へ来る曜日が変わらない。教室が複数あれば、そんなこともしやすいです。応用が利くね。
授業がない時間帯は予備日です。修学旅行やインフルエンザの流行など何かあって授業が出来なかったときは、そこで代わりに授業をしましょう。
レイアウト的にひとつの教室に6人入ることができますが、念のため1クラス4人で計算してみましょう。
小学5年生(2クラス)+小学6年生(2クラス)+中学生(各4クラス)=16クラス
4人(1クラス分)×16クラス=64人
まぁ流れに乗って、最大キャパでいいとこ70人。今回は65人(小学生16人)くらいとします。
さ、授業料どうしようね。まず小学生。
小学生が16人だとして、
10000円×16人=16万円
目指すべき月の売上は100万円です。残りは、
100万円ー16万=84万円
中学生49人。したがって一人あたまは、
84万円÷49人≒約17000円